少年院法務教官による特別講義を実施しました
総合保育学科では、12月7日(土)に選択科目である「障害の理解」の授業の一環として、愛知少年院法務教官の守谷泰弘氏を講師としてお招きして特別講義を行いました。
昨今の社会情勢の大きな変化の余波は保育の分野にも例外なく押し寄せており、子ども、家庭が呈する多様で複雑な状況に保育園、幼稚園をはじめとした子どもを支援する機関は適切に対応することが求められています。そうした現代的な社会ニーズに適応できる人材育成の機会として実施しました。
講義では、まず関係法令に基づく矯正教育の基本的な知識から学びました。そして、在院している少年は必ずしも粗暴ないわゆる非行少年ばかりではなく、身近な養育者から適切かつ十分な愛着形成の機会を得られてこなかったり、発達障害や知的障害などの特性からくる生きづらさを抱えているにも関わらずそれらに対する有効な支援を得られないまま思春期を迎え、様々な葛藤の中で不適切な行動に及んでしまったりする例が多いことも学びました。
子どものそうした不適応を未然に防ぐためには、基礎的な体力や学力を身につけること、正しい自己理解ができるようになることなど子ども自身に求められる日常生活上の実践と共に、家庭・学校・地域が果たす役割が大きいとの指摘がありました。この点においては、将来保育者として社会に出る学生の中で当事者意識が否応なく高まったようです。
講義のまとめとして、最後に学生から印象に残った講義内容とそのことを将来の自身のキャリアにどのように活かせそうかというテーマでスピーチをしてもらいました。子どものちょっとした変化に気づくためにセンサーの感度を上げる、子どもの成長の基盤を安定化するため保護者・家庭への支援スキルも身につける、自身の認知バイアスを排除し子どもにとっての安心の基地になる、などの展望が示されました。
愛知少年院 法務教官
守谷泰弘 氏